診療案内
皮膚が赤い
"様々な原因によって痒みが引き起こされますが主に4つ挙げられます。
一般的に左から右に疑って検査を行っていきます。
考えられる病気
寄生虫
肉眼で見えるノミダニに限らず顕微鏡で探すダニ(ニキビダニ、疥癬)もいます。
ニキビダニはシーズーやマルチーズなどによく認められ、1歳以下の若齢または7歳以上の中高齢で見つかることが多いとされています。
特に疥癬(左の写真)は室外にも出る犬猫が野生動物から移されることがあり、とても痒がります。一緒にいる動物や人にも移るので要注意です。
Ex ニキビダニ、疥癬
寄生虫の検査・治療内容
ノミの寄生は実際にノミが動いているのを見つけることが多いです。数が少ない場合はノミの糞(毛の間に存在する黒い点々)を見つけて疑うこともあります。
肉眼では分からないダニ(ニキビダニ、疥癬)がいる場合はフケやかさぶたになっている場所の皮膚の下に潜っているので、皮膚検査にて隠れていないかを調べます。
治療はノミダニに対する駆除薬を用います。
感染症
元々皮膚の表面には少数の細菌やカビの仲間(真菌)は存在していますが、それらが異常に増殖すると皮膚の赤み、痒み、脱毛が起こります。
膿皮症:細菌感染が原因で起こりますが、気温や湿度が高いジメジメした時期に多いとされています。
細菌が増えるとドーナツ状の輪っか(表皮小環)を認めることが多いです。
大型犬では被毛の下に隠れていた皮膚炎に気づき来院される場合が多いです。
※写真が細菌性の皮膚炎で多く見られる皮膚炎の円形の形(表皮小環)になります。
マラセチア性皮膚炎:カビの中でも最も多く原因となるのがマラセチアになります。
皮膚が非常にベタベタして脂っぽくなり、独特の臭いや皮膚の赤みを認めます。
感染症の検査・治療内容
顕微鏡で異常に増殖した細菌や真菌(カビの仲間)を探します。
細菌感染 内科的治療法(抗生物質)+外用療法(殺菌成分を含んだシャンプー)
長い間続いている皮膚の病気(慢性化した皮膚炎)では、薬に対して耐性の細菌が増えていることがあるので、培養検査(何の細菌がいて、どの抗生剤が有効かを調べる検査)に出すことがあります。
真菌感染 内科的治療法(抗真菌剤)+外用療法(殺菌成分を含んだシャンプー)
※シャンプーによる治療は侮られがちですが、感染症による皮膚炎は繰り返すことが多いのでシャンプーによる治療(殺菌)が再発防止にも役立ってくれます。
食物アレルギー
主に食事中のタンパク質(牛、豚、鶏肉等)に反応して痒みがないかを調べます。
1歳未満の若い年齢で発症することが多い病気です。
皮膚の痒みに限らず症状として消化器症状(吐き気や下痢)や外耳炎(耳の病気)を示すこともあります。
完治は難しいので一生付き合っていく必要がある病気になります。
食物アレルギーの検査・治療内容
血液検査(IgE検査)により痒みの原因となるタンパク質(牛、豚、鶏肉等)や炭水化物(米、小麦等)を探して食べることができるドライフードに変更をします。
検査をしない場合は、食事アレルギーに対する療法食に2ヶ月間変更して痒みが減るかを確認します。
完治が難しい病気なので、生涯にわたる食事療法が必要になります。
アトピー性皮膚炎
皮膚に触れるアレルゲン(花粉、ハウスダストマイト)が痒みの原因に隠れていないかを調べます。
柴犬で多く見つかる病気になります。
非常に痒みが強く足先や目や口周囲に症状が出やすいと言われています。
長い期間病気が続くと(慢性化すると)皮膚が黒くなり分厚くなってきます。
写真の様にパンダの様に眼の周りが黒く分厚い皮膚になっている場合もあります。
完治しない病気になるので一生涯付き合っていく必要がある病気になります。
アトピー性皮膚炎の検査・治療内容
診断のためには他の皮膚の病気(寄生虫、感染症、食物アレルギー)ではないことを確認します。
血液検査(IgE検査)により反応するアレルゲン(花粉やホコリに含まれるダニ等)が無いかを探し、飲み薬を主体とした生涯治療が必要となります。
以前はステロイドが主流で治療に使われていましたが、安価な反面で副作用(ホルモンの病気になったり、血液検査で肝臓に関する数値が高くなる)もあることから、他の薬(シクロスポリン、オクラシチニブ)も使われるようになってきました。
飲み薬よりも副作用が少ないスプレータイプのステロイドも痒みを抑えるために非常に有効的です。
アトピーを持つ子は非常に皮膚のバリア機能が弱いと言われているので、それを改善するためにシャンプーによる皮膚の管理も重要視されてきています。