診療案内
尿の量や回数が多い
犬や猫でよく見られる症状の一つになります。ストレスなどが影響する事もありますが病気が原因で引き起こされる事もあります。
考えられる病気
腎不全
高齢の猫でよく認められるものに慢性腎不全があります。
腎臓が悪くなると血液中の老廃物を尿で身体の外に出せなくなってしまい、腎臓の尿を濃縮する機能が低下しているため黄色ではなく薄い透明の尿になります。
尿の症状以外にも元気や食欲がなくなり痩せてきたなどの症状が認められることが多いです。
進行すると貧血も現れるので非常に動きが悪くなります。
腎臓に障害を与えるような物(ブドウ、鉛など)を誤って食べてしまった場合にも中毒から腎不全が発生するので注意が必要です。
腎不全の検査・治療内容
血液検査で腎臓の機能の低下の有無や画像検査(レントゲン、超音波検査)で腎臓が小さくなっていないかを確認します。
尿検査では薄い尿(等張尿)になっていないかを調べます。
治療には療法食(腎不全用)、内服薬、点滴を組み合わせて用いられます。
慢性腎不全の場合は完治しない病気になるので、病気の進行を遅らせることを目的に治療を継続していきます。
糖尿病
動物も糖尿病になります。
おしっこ中に糖が含まれる尿糖が出ることにより飲み水の量が増えて尿の量も増えるという症状が引き起こされます。
人と同様にインスリンの治療が必要になり放置すると腎不全や白内障や全身状態の悪化(ケトアシドーシス)につながります。
基本的には完全に治ることのない病気になるので、自宅でのインスリンを打つ注射による管理と1日の食事の量を決めての食事の管理が生涯必要となります。
糖尿病の検査・治療内容
複数回の血糖値の上昇や尿中に糖が確認されたら1日2回のインスリンの注射と量を測った食事管理を軸に治療を行なっていきます。
インスリンの効きが悪い場合にはインスリン抵抗性疾患(糖尿病以外の病気がインスリンの効果を弱めてしまう)という他の病気が同時に起こっていないかも調べます。
食事は急な血糖値の上昇を抑えた糖尿病食がありますので、食べが良い場合は変更することが勧められています。
※一緒に練習をしてもらえれば飼い主さんでもインスリンは注射できるようになります。
副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
猫よりも犬で多くみられる病気になります。
尿の症状に加えて、お腹が丸く大きくなる(腹囲膨満)、呼吸がいつも早い(パンティング)、毛が生えずに薄いなどの症状が認められます。
よく食べる(多食)ために病気と認識されないことが多いですが、それも症状の一つに含まれるので他の症状が当てはまる場合は検査を受けて診断をつけにいきます。
多くの場合は脳の近くにある下垂体という場所に原因があり腎臓のそばにある副腎が影響を受けてステロイドホルモン(コルチゾール)を多く出すために症状が現れます。
治療されずに放置すると血栓が作られやすい状態になると考えられています。
血栓が血管に詰まると呼吸困難(肺塞栓)や突然死などにつながることがあります。
副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)の検査・治療内容
症状が多く当てはまる場合には主に3つの検査(血液、画像、尿検査)を実施します。
さらに詳しく調べる必要がある場合にはMRI検査を提案します。
血液検査:肝臓の数値(肝酵素)が高くないかやステロイドホルモン(コルチゾール)が過剰に分泌されていなかを検査します。
画像検査(レントゲン、超音波検査):肝臓や副腎が大きくなっていないかを調べます。
尿検査:飲み水や尿の量が多い場合に、尿が薄く(等張尿)なっていないかを調べます。
MRI検査:下垂体が大きくなっていないかを調べます。
治療には飲み薬や放射線の治療法がありますが多くが飲み薬が選択されます。
- 飲み薬
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ステロイドホルモン(コルチゾール)の分泌を抑えるための薬になります。
※病気の完治を目指すものではなく症状をなくし動物が快適に過ごせるようにすることが目的になります。